たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
あれからもうすぐ一ヶ月が経とうとしているので、さすがに落ち着いてくるだろう。
「でも、あのとき玉置さんはあまり驚いてなかったよね」
ホットのカフェモカを一口飲んでから、カップをテーブルに置いた。
玉置さんが頷く。
「そうですね。梅本さんなら納得できたというか」
「納得?」
「はい。梅本さんは美人だし、仕事もできるから、成海社長の隣に立っても遜色ないですし」
「そうかな」
自分ではまったくそう思わないので、玉置さんの言葉に引きつった笑みを浮かべる。
「私よりも成海社長に相応しい人はたくさんいるよ。ほら、広報部の霧矢さんとか」
彼女の方が成海社長とお似合いだ。大学の同級生なので仲もいいし。
「霧矢さんですか。あの人は、ちょっと……」
けれど、玉置さんは微妙な表情を見せる。
「成海社長との仲を自慢するような言動が多いって広報部の同期が言ってました。たぶん成海社長のことが好きなんじゃないかって」
「そうなの?」
「はい。だから、成海社長が梅本さんと結婚をして、広報部の人たちはみんな霧矢さんに対してざまぁみろと思ったそうですよ」
「そ、そうなんだ」
反応に困ってしまい、とりあえずカフェモカを一口飲んだ。