たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「梅本」
ふと名前を呼ばれたので、作業を中断し振り返った。
「来週の式典の準備は順調か」
先ほどまでパソコン画面を見ていた成海社長の視線が私に向かう。キーボードを打っていた手を止めて軽く腕を組むと、執務チェアの背もたれに軽く寄りかかった。
「はい。滞りなく進んでおります」
来週の土曜日、成海商船が三十年振りに新造した大型豪華客船の就航記念セレモニーが予定されている。
その企画と準備を秘書課と広報部が担当し、当日もサポートに回る予定だ。
「招待客が多く集まる大事な式典だ。一切の不備は許されない。気を引き締めて準備を進めてくれ」
「承知いたしました」
日本生まれの大型豪華客船への注目度は高く、当日は国内外から集まった招待客が乗船し、メディアも多く集まる予定だ。
不備は許されない。
今日もこのあと秘書課と広報部が集まって式典の打ち合わせがある。当日に向けてしっかりと準備をしないと。