たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「失礼します」
ドアをノックして入室すると、半べその玉置さんと目が合った。
専務は席を外しているようだ。
「梅本さぁ〜ん」
専務室にある玉置さんのデスクには資料の入ったファイルが何冊も積み重なって置かれている。
「どうしたの?」
「それが、資料を一枚なくしてしまって」
それを探していたから秘書室に戻れなかったようだ。
「だいたいどのあたりにまとめたかはわかる?」
「いえ。そもそもまとめた記憶もなくて。とりあえず片っ端から探してます」
それは、気が遠くなるような作業だ。今日中には終わらない気がする。
「手伝うから、どの資料か教えて」
「梅本さぁーん。ありがとうございます」
ひとりよりもふたりで探した方が早い。
玉置さんに目的の資料を教えてもらい、ファイルの中の資料を確認していく。
けれど途中から、そもそもその資料は専務が持っているのだろうかと疑問が浮かぶ。
探すのに必要なので資料に書かれている内容を玉置さんに教えてもらったけれど、そこに書かれていることは専務の業務には関係ないはずだ。
それを玉置さんに伝えたところ、どうやら彼女も同じことを思ったらしく専務に尋ねたらしい。けれど、専務は絶対にあるの一点張りだったそうだ。