たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「いや、玉置くんは資料探しだ。会議への同行は梅本くんに頼む」


 そう言われても……。

 ちらっと時計を確認する。今の時間、成海社長も別の会議に出席している。彼は私を同行させないので、いつもひとりでの参加だ。

 成海社長の会議が終わるまでにはまだ時間がある。専務に同行しても問題なさそうだ。


「承知いたしました」

「よし。それではさっそく行こうか」


 イスから腰を上げ、出入口へ向かう専務のあとについていく。

 その途中、玉置さんと目が合い、申し訳なさそうにペコっと小さく頭を下げられた。それに対して、大丈夫だよという意味を込めて微笑む。

 玉置さんには一刻も早く資料を見つけ出してもらわないといけない。

 専務と共に会議室へ向かい、一時間ほどで会議は終了した。


「助かったよ、梅本くん。きみが一緒に来てくれて」


 専務室へ戻りながら、前を歩く専務が振り返る。


「次も梅本くんに一緒に来てほしいな」

「専務、それは出来かねます。専務の秘書は玉置ですので」


 今回はイレギュラーな対応として私が同行しただけだ。


「それじゃあ、梅本くんが私の秘書になってくれないか」


 専務が歩くペースを落として私と並ぶ。


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