たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「私はね、前から梅本くんを秘書にしたかったんだよ。きみは優秀だし、それに顔は私好みの美人だし、スタイルもいい」
専務からねっとりとした視線を向けられた瞬間、ぞわぞわと鳥肌が立った。
これはセクハラでは?
なにを言ってるのだと、冷めた目で見てやりたいが相手は役員。秘書の立場では、愛想笑いを返すことしかできない。
「そう言っていただけてありがたいのですが、私は成海社長の秘書ですので」
「成海社長とは家でも一緒にいられるんだから、なにも職場でまで一緒にいなくてもいいだろ。私の秘書にならないかい」
「いえ、それは私の一存では決められません」
「では、雪白くんに頼んでみよう。梅本くんが私の秘書になりたいと言っていたと伝えておくよ」
そんなこと一言も言ってないんだけど!
これ以上専務と一緒にいたくない。けれど、逃げるわけにもいかないし……。
どうしようと困り果てていると、突然右手を掴まれ、後ろにグイッと引っ張られた。
「やっと見つけた」
ふと頭上から聞こえた声に顔を上げると、成海社長の姿があった。
彼の視線は私にではなく、専務に向けられている。