たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「説明しろ」
冷たい声で言われて、ビクッとなりながらもなぜ専務と一緒にいたかを打ち明ける。
専務秘書の玉置さんが資料をなくしてしまい、それを探す間だけ専務の会議に同行していたことを説明した。
それを聞いた成海社長が静かに尋ねる。
「ちなみに、それはどんな資料だ」
「えっ。えっと……」
玉置さんと一緒に探していたので、そこに書かれている内容について知っている。それを成海社長に伝えると、彼は深くため息を吐いた。
「その資料を専務は持っていないはずだ。彼の業務には関係ない。探したところで出てくるわけないだろ」
やっぱりそうだったんだ。
私と玉置さんもそう思ったけれど、専務が絶対にあると言うので探していた。けれど、そもそもなかったなんて。
専務の勘違いのせいで、あるはずのない資料をひとりで探し続けている玉置さんがかわいそうだ。
早く教えてあげないと。
「急いで専務室に行ってきます」
成海社長に頭を下げ、歩き出そうとした瞬間、またも右手を掴まれてグイッと後ろに引っ張られた。
よろけてしまい、成海社長の胸元に軽く頭をぶつける。
「俺が行く」
「いえ、私が」