アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 静寂に包まれる馬車の中でディートリッヒ様はずうっと私を見つめている。もちろん位置的な問題はあると思う。さすがに隣に座るのは恐れ多いので、正面に座らせてもらっている。

 だがガン見は辞めていただきたい。
 もちろん城に出入りするにあたってそれ相応の服を身につけているつもりだ。白と黒のドレスで、城のメイドとデザインは被らないながらも誰かに仕える身であるということが一目でわかるシンプルなデザインだ。

 もしやアッシュ家のメイドならもっといい生地の服を着ろと思われているのだろうか。

 お給料もそこそこのお値段もらっているし。
 もしかして昨日のお休みって給料でいい服でも買ってこいっていう意味だったとか?
 そんなことにも気づかずに、お茶してフィナンシェ食べて、ジェラートでシメる何ともグルメな休日を過ごしてしまった。ヒシヒシと突き刺さる視線にいたたまれなさを感じてしまう。

 お屋敷に戻った後でもお店って開いているかしら?
 既製品でもそこそこの品はあるだろうし、ひとまずそれを何着か見繕って。これからもお呼ばれすることもあるだろうし、時間がある時にでもちゃんとしたのを作ってもらおう。

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