アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「この本を読み終わったら帰る」――と。
王子が胸元に抱えていたのは子供向けの本だった。
私の実家にもあった、小さな男の子が冒険するストーリーである。そう長い話ではない。どんなにゆっくり読んだとしても半刻もすれば読み終わってしまうだろう。私にはそれがわざわざレッスンを抜け出してまで読むような本だとは思えなかった。
なにせ王子よりもうんと幼い子どもが読む内容のお話である。
それでもその本を大事そうに抱えるシンドラー王子の姿に、私はつい約束してしまったのだ。
「読み終わったらちゃんと帰るんですよ?」
「ああ!」
――それがまさかその後も続くとは知らずに。
本を読み終えたシンドラー王子は約束通り、レッスンへと戻っていった。そしてその3週間後、また私の元へとやってきたのだ。
かくまってくれ――と。
抜け出す度に私の元に来ているわけではなく、気まぐれにやってきているらしかった。それでも私の元に来るときには必ず『約束』をしていた。
私はシンドラー王子をかくまう代わりに、シンドラー王子は私とした約束を守らなければいけない。
王子が胸元に抱えていたのは子供向けの本だった。
私の実家にもあった、小さな男の子が冒険するストーリーである。そう長い話ではない。どんなにゆっくり読んだとしても半刻もすれば読み終わってしまうだろう。私にはそれがわざわざレッスンを抜け出してまで読むような本だとは思えなかった。
なにせ王子よりもうんと幼い子どもが読む内容のお話である。
それでもその本を大事そうに抱えるシンドラー王子の姿に、私はつい約束してしまったのだ。
「読み終わったらちゃんと帰るんですよ?」
「ああ!」
――それがまさかその後も続くとは知らずに。
本を読み終えたシンドラー王子は約束通り、レッスンへと戻っていった。そしてその3週間後、また私の元へとやってきたのだ。
かくまってくれ――と。
抜け出す度に私の元に来ているわけではなく、気まぐれにやってきているらしかった。それでも私の元に来るときには必ず『約束』をしていた。
私はシンドラー王子をかくまう代わりに、シンドラー王子は私とした約束を守らなければいけない。