アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 唐突に沸いた休日に心を踊らせながら、深くお辞儀をする。ディートリッヒ様が去ったのを確認したら、まずはキッチンに向かわねば。

 まだ伝えてから少ししか経っていないから、事情を伝えれば作ってくれるはず!
 今日のご飯って何かしら? なんて考えながら、腰を下げたまま固定しているのだが、なかなか目の前から気配がなくなることはない。

 城でメイド長にしっかりと仕込まれているから、この状態で一時間停止するのは余裕だ。けれど注がれる視線が痛い。

 会話って終わったよね?
 流れ的に見守る体勢に入った私の選択は正しかったはずだ。

 なのになんなんだこの状況……。

「どうかなさいましたか?」
 我慢できずに頭を上げて、私の頭をじいっと見つめていただろうディートリッヒ様におずおずと尋ねる。
 私と視線が交わった彼はパチパチと瞬きをしてから、視線を逸らす。

「だがもし。もし今でなくてはいけない用事があるというのなら馬車を出させるが」

 どこかを見つめながら、ディートリッヒ様はそんな提案をしてくれる。
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