アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 だがどこに私用で仕える家の馬車を出してもらうメイドがいるんだ。それこそ家族が危篤だとか、相当な急ぎの用事でも発生しない限りありえない。
 これは遠回しに夜中に一人で出かけることの品性のなさを咎められているのだろう。

「お気遣いいただき、ありがとうございます。ですが急ぎの用事ではありませんので……」
 謝罪の意味を込めて再び腰を曲げる。
 そんな私に「そうか」とだけ残して、我が主様は今度こそこの場を後にするのだった。


22.
 その日、何度目かになる謝罪をして、まかないを確保した。
 そのお礼として約束した翌朝の皿洗いを済ませた私は、今度こそお買いものに出るべくお財布を入れたポシェットを肩に下げた。

 道中考えるのはどんな服を選ぶか、ではなく今日の昼食は何を食べようかである。

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