アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 定期的に呼ぶ気がありありと伝わってくるが、いい職場もオススメしてくれた訳だし。

「ともかくアイヴィーが前と変わらずにいてくれて嬉しいわ。じゃあサクッと採寸しちゃいましょう」
「よろしくね」

 久々の友人に身を任せ、テキパキと採寸は終える。
 そして服の完成予定日と共に連絡先を教えてもらい、店を後にした。



23.
 王都の中央通りから裏道に入り、お目当ての大衆食堂で食事を取る。
 観光客には知られていないが、近くで働く人たちにはお手頃価格で美味しいご飯が食べられると有名なのだ。場所が場所だから知る人ぞ知る隠れた名店。私もお城で働いていた時に教えてもらったのだ。

 シンドラー王子から。

「さすがにお城は抜け出していませんよね!?」
 この店がオススメだと聞かされた時には焦った。それはもう、王子の肩を掴んで揺さぶるほどには混乱した。けれど話を聞いてみれば、この店は騎士達の中でも有名らしく、ディートリッヒ様の話に出てきたのだとか。

 そんな店を私に教えた理由はたった一つ。テイクアウトメニューである、お手製プリンを持って帰ってきて欲しいからだった。

< 130 / 241 >

この作品をシェア

pagetop