アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 デザートにも関わらず人気ナンバー1を誇るプリンの話を聞かされたシンドラー王子だったが、食べてみたいと頼んでもディートリッヒ様が持って帰ってきてくれることはなかったらしい。
 それはそうだろう。王子の口に入れる物となれば、毒味とかいろいろとする必要がある。少なくとも外で買ってきた物をはいどうぞと手渡すことは出来ないのだ。
 ディートリッヒ様がシンドラー王子を守る筆頭の騎士だからなおのこと。そういう背景を王子自身も理解しているからこそ、早々にディートリッヒ様を諦め、私に頼んだという訳だ。

「抜け出さないから、アイヴィーが持ち帰ったのを横取りさせてくれ」

 頼む! と顔の前で両手をぴったりとくっつけて懇願されては、断ることも出来ずに足を運んだのが始まりだった。
 それから私も王子もプリンの虜になり、城とはまた違う美味しさの食事は、週末のウィンドウショッピングの後にはコレ! と決まるほど。

 ウェディングドレスを頼むお針子さんの目星もつけ、すっかり外出はご無沙汰になっていた。この店に足を運ぶのも久しぶりのこと。


 席に着いて真っ先に頼むのはビーフシチューと窯焼きパンだ。
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