アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 柔らかな山吹色のボディにスコップで開拓するように深くスプーンを突き刺す。スプーンにこんもりとお山が出来るほどに掬ったら思い切り頬張る。
 つるんと舌の上を滑走するそれを咀嚼すると、ふんわりと優しいたまご本来の味がその面を中心として、容赦なく広がっていく。
 大きめなスプーンで、ぷるんぷるんと震えるプリンの山を掘っては大きく口を開いて頬張る。けれどこの空間で女が大口を……なんて咎める者はいない。

 このプリンを目の前に、そんなのはヤボってものだ。
 隣に座ったおじさんと目が合えば、コクコクと頷いてくれる。その目はすでに何かを悟っているよう。視線をおじさんの手元に移せば、彼もまたデザートのプリンに手を伸ばそうとしていた。

 なるほど、隣の彼も同士という訳だ。
 アイコンタクトで「それ美味しいですよね」と返すとおじさんは満足げに口角を上げた。そしてプリンに向き直り、スプーンでひとしきりプリン独特の感触を楽しんだおじさんは幸せそうにプリンを頬張るのだった。



 すっかり満腹になった私は食堂を後にする。
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