アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 近づくに連れて徐々に増えていく人の流れに従って、教会の中へと足を踏み入れる。

 初めて立ち入るその教会の光源は主にガラスを通して注がれる日光だった。壁にはいくつかのキャンドルポットが置かれている。おそらく陽が十分でない時はそれを光源として使うのだろう。

 けれど今日みたいな日は不要だ。
 ガラスを通して、天使様へ向かう道に降り注ぐ光は幻想的で、まるでおとぎ話の世界にでも迷い込んだのかと錯覚してしまうほど。

 思わずほうっと息を吐いて、周りのステンドグラスを眺める。
 これは恋人とくれば幸せが訪れると噂されるのも納得だ。寄り添う男女がほとんどを占める中で、私は一人、少し離れた場所で目を閉じ、両手を組み合わせる。

『どうかお姉様とジャックがこれからもずっと幸せであり続けますように』

 天使様に祈りを捧げる私の瞼の裏には幸せそうに笑い合う二人の姿が映る。
 ずっと実家には帰っていないからもう6年も前の姿だ。けれど今でも変わらずに笑っているはずだ。

 わざわざ天使様に祈るようなものでもなかったかもしれない。
 あの二人なら頼まずともずっと笑いあってくれるだろうから。

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