アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 何でもアイビーの香りが欲しいとのこと。
 そんな手紙が届けば気持ちが舞い上がるのも必然だろう。
 手紙の返信と共にそれをプレゼントしようと思ったのである。

 ちなみにジャックの分は薔薇の香りを購入予定だ。
 彼が香油を塗ることはないだろうが、何もそれだけが使用方法ではない。
 職業柄、香りの強い物をつけられない女性達はリボンなどに染み込ませて香りを楽しんでいるのだそう。そうしてみてはどうか、と手紙に記しておくつもりだ。

 お姉様もジャックも薔薇の香りが好きだから、きっと喜んでくれるはずだ。
 そこにアイビーの香りがあることを想像して、外なのに思わず顔が緩んでしまう。
 これじゃあ完全に変な人だ。周りをチラチラと確認して、変な目で見られてはいないことにほっと息を漏らす。

 そして目当ての店のドアを開いた。
 カランカランと透き通るような音と共に私を出迎えたのは、壁の棚中に陳列された瓶の多さ。多いとは聞いていたがここまでとは想像もしていなかった。その反面、様々なオイルが混ざり合っているだろうという想像は裏切られた。

< 140 / 241 >

この作品をシェア

pagetop