アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 ここまで多くの香りを封じたオイルが並べられていながらも感じるのは、高原に咲いた花のような、ひっそりと香る甘さ。視界が揺らぐような甘ったるい香りなどどこにもない。ここなら安心してゆっくりとお目当ての物を探すことが出来そうだ。


 説明書きのラベルが貼られた瓶を見回しながら、アイビーと薔薇の香りの物を探す。
 薔薇は比較的メジャーな物らしく、サンプリングだけでも3つほど用意してあった。特徴は違うがどれも薔薇のように誇り高く気品のある香りであることは間違いない。どれもいい香りである。けれど香りが強いのも事実。その中で一番香りが弱い物が入った瓶を手に取った。

 そして次にアイビーだが、これがなかなか見つからない。
 別に珍しい花でもないのだが、需要がある訳でもないのだろうか。
 自分と同じ名前の物が見つからないことに少し寂しさを覚えながらも、根気よく一つ一つラベルを確認していく。

「な、ない………………」
 けれど二周したところでそれが見つかることはなかった。
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