アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 憎まれ口を叩くセルロトは、天才が作った特別製のオイルなんだからねと笑う。
 そんな彼に、もう恋はいいのよ、なんて言い出せなくて。

「ありがとう」
 だから私のことを思ってくれてありがとうという意味を告げて笑って、一つ分のお会計だけ済ませると、大盛況のお店を後にした。


25.
「アイヴィー。明日時間あるか?」
 ディートリッヒ様からこんな不思議な質問をされたのは、夜会が終わって少ししてからのことだった。

「はい」
 空いているかも何も、明日は休みではないのでいつも通りの仕事をこなすつもりである。だからわざわざ私の予定なんて気にする必要はないはずなのだ。

「そうか。なら空けてあけておいてくれ」
 だからきっと明日、特別な用事でもあるのだろうかと勘ぐってしまう。

 もしや城について行くことになるとか?

 教会の天使様に祈った、シンドラー王子にプリンを渡すチャンスだが、まさかこんなに早く訪れるとは……。

 信仰の薄い身にも優しい対応。
 お礼に一月に一回くらいのペースで通った方がいいのかしら?

 もちろん恋人達の邪魔にはならないようにひっそりと。
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