アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 がたがたと揺れる馬車の中で、私ってなかなかヒドい人間だよなぁ~なんて感傷に浸る。肩までしっかりと。ちゃっかりと息継ぎしなくても済むように顔を確保している私に、ディートリッヒ様は「それで」とお話を開始する。想像の中だったとしても耳を出してて良かったわ、なんて思いながら主の目をまっすぐに見据える。

「王子へのプレゼントだが、私が過去に贈った物は主に稽古の際に使ってもらえるような道具だ。アイヴィー、君は?」
「私は技術です。ドライフラワーの作り方や刺繍の方法、その時シンドラー王子に頼まれたことをプレゼント代わりにお教えしておりました」
「ドライフラワー作り? 刺繍の方法? それは完成したものではなく?」

 表情一つ変えないディートリッヒ様だが、ゆっくりとお両目をパチパチとさせているところを見るに、結構混乱されているのだろう。

 そうよね。こいつ王子相手に講座なんて開講しているんだ、って思うわよね。

 それにドライフラワー作りはさておき、刺繍はご令嬢が手習いとしてなさるものだ。おそらく歴代の王子様でメイドに教えてくれと頼んだ方は、シンドラー王子を除けばいらっしゃらないだろう。
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