アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「マリー様もそのことはご存じだと思います。ですからそれはただの約束なのでしょう。けれど私や姉にとって名前由来の花で作られた花冠はティアラと同じもので。だからこそマリー様はそれほどまでに喜んでくださったのでしょう。守られないと分かっていても、私にとってその約束ほど嬉しい物はありません」
「花のティアラ、か。アイヴィーも欲しいのか?」
「え?」
「何を驚いているんだ? 話からするに、君の名前はアイビーから取ったものだろう?」
「そう、ですね。いただければ嬉しいのですが、生憎と私にはそのような相手がいないものですから」
「そうか……」

 なぜ私は密室となった空間で、主人相手に恋人がいない悲しい女宣言をしなければいけないのだろう。

 ディートリッヒ様はなぜわざわざ私にそんな確認をしたのか。深い意味はないのか。それとも何か深い意図が…………………まさか!

「あくまで花のティアラは私達姉妹の憧れで、その話をたまたまマリー様が気に入ってくださったというだけでして。決して全ての女性の憧れだとか、地方にある慣習の一つとかではないのです!」

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