アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 馬車を裏道に止め、シンドラー王子のお誕生日プレゼントを探し求めるために王都を闊歩する――ことを想像していたのだが、その予想はあっさりと裏切られた。


 ディートリッヒ様が一直線に向かったのは、裏道にひっそりと店を構える鍛冶屋だった。
 古びた看板がつり下がっている店に、思わず「え、ここ?」と口から文句が漏れそうになった。けれど気合いで口を閉じ、躊躇なく突き進むディートリッヒ様の後に続く。そして開かれたドアの先に広がる光景に「わぁ」と声を漏らす。

 そこに広がっていたのは並べられた武器や防具の数々。
 看板の扱いからは想像できないほどに、綺麗に並べられたそれらはしっかりと手入れが行き届いている。ピカピカと光る刃先がどれほどの実力を持っているのか、剣を握ったことのない私が正確に推し量ることは出来ない。

 けれどこれらを見て、先ほどと同じ感情を抱くことは出来ない。
 人は見かけによらないというが、店は看板によらないものだと胸に刻み、心の中でまだ見ぬ店主に謝罪する。
 私が多くの武器に驚かされる一方で、ディートリッヒ様はぐるりと店内を見回してからカウンターへと進む。

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