アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 こんな日くらい自分と同じご飯を食べさせてやってもいいと思ってくれたのかもしれない。

 いつもまかないで美味しいご飯食べさせてもらっているけどね!

「い、いただきます」
 ディートリッヒ様の好意と受け取ることにして、ぺこりと頭を下げる。
 フォークを手に取り、前菜へと伸ばす。それが私の口に運ばれていくのを見届けるとディートリッヒ様も食事を再開した。

 結局、これ正解だったの?
 その後も主人の思考が分からないまま、食事を続けた。
 味は美味しいが味わう余裕なんてなかった。


 ――最後のデザートが出されるまでは。


 デザートとして出されたのはプリン。
 そう、私の前に置かれたのはぷりんぷるんと震えるあの物体なのだ。
 食堂のものとは違い、すべすべでカラメルの入り込む隙の与えないボディ。頂から滑らかに流れ落ちる甘い液体の侵入を拒むそれは、お皿の上に君臨する女王の如く立派に鎮座していた。タマゴの黄身の色がそのまま反映されたのだろうそれに、よく冷えたスプーンを削くようにして入り込ませる。すると今まで侵入を拒んでいたのが嘘のように、何の抵抗もなくスプーンを迎え入れるのだ。

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