アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 まるでそれをずっと待っていたかのように。
 私の手に触れたことで少し熱を帯びたスプーンは掬い取ったプリンをぷるぷると震わせて私を魅了する。

 そんなデザート相手に、私の心が動かされない訳がない。
 すでにそれしか視界に入らない目でスプーンを追いながら、口の中へと誘っていく。
 すると口の中でふわっと溶けていく。黄身どころか、生みの親である鶏さえも強く主張してくるのだ。

 これは歴代プリンNO.1の座を争えるくらいの逸材かもしれない。
 お手軽さはないけれど、恋した乙女のようにうっとりとしてしまうのだ。

 スッと掬っては自分の元にたぐり寄せる。
 そんな行動を幾度と繰り返し――自らに向けられた視線にハッとする。

 いつからかは分からないが、ディートリッヒ様がこちらをじいっと見ていたのだ。しかも彼のデザートであるティラミスには傷一つついていない。そして当然のようにスプーンにはココアの粉さえついていない。

 つまり結構前から、暢気にプリンを味わう姿を見られていたのでは?
 気づいてしまったことで、私の冷や汗はセキを切ったようにドッと溢れ出す。

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