アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
だが残りはスプーンに乗せた一口のみ。
時すでに遅しとそれを運びこみ、味わうことなく飲み込んだ。
それを見届けたディートリッヒ様は自身の皿をついっと突き出した。
「私のも食べるといい」
「へ?」
「この店のデザートが気に入ったのだろう。物は違うが嫌いではなかったら、もらって欲しい」
「あ、ありがとうございます」
餌付け感覚なのかしら?
ありがたく頂戴して、今度はティラミスのスコップを開始する。
舌触りのいいチーズと甘さ控えめのココアが、パズルのピースをはめるかのようにぴったりとマッチしている。間違いなく頬がとろけるほどの一品だ。
けれど目の前から真っすぐと注がれる視線ばかり気にしてしまって、十分に味わうことは出来なかった。
「美味しいか?」
そう問いかけるディートリッヒ様の視線は先ほどよりも柔らかくなったように感じるが、それはきっと気のせいだろう。
何せ表情はピクともしていないのだから。
28.
最近珍しくなくなってきた休日。
暗めのワンピースを頭から被り、王都へと繰り出す。
まっすぐ中央通りを歩いて向かうのはあの天使様の元だ。
時すでに遅しとそれを運びこみ、味わうことなく飲み込んだ。
それを見届けたディートリッヒ様は自身の皿をついっと突き出した。
「私のも食べるといい」
「へ?」
「この店のデザートが気に入ったのだろう。物は違うが嫌いではなかったら、もらって欲しい」
「あ、ありがとうございます」
餌付け感覚なのかしら?
ありがたく頂戴して、今度はティラミスのスコップを開始する。
舌触りのいいチーズと甘さ控えめのココアが、パズルのピースをはめるかのようにぴったりとマッチしている。間違いなく頬がとろけるほどの一品だ。
けれど目の前から真っすぐと注がれる視線ばかり気にしてしまって、十分に味わうことは出来なかった。
「美味しいか?」
そう問いかけるディートリッヒ様の視線は先ほどよりも柔らかくなったように感じるが、それはきっと気のせいだろう。
何せ表情はピクともしていないのだから。
28.
最近珍しくなくなってきた休日。
暗めのワンピースを頭から被り、王都へと繰り出す。
まっすぐ中央通りを歩いて向かうのはあの天使様の元だ。