アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 そこに並べられていたのはキャンドルだった。
 おそらくは曇りの日や雨の日に、この教会の光源となる物だろう。
 傷をつけた場所に上手く色を入れ込んだそれらが並んだ教会はまた別の美しさを醸し出すのだろう。タイミングさえあれば是非その時にも足を運んでみたいものだ。売り物らしいキャンドルは手作りだからか、一つ一つ形や色が違う。

 その中で私に馴染みの深い物が掘られた三つ手に取った。

「これもらえるかしら?」
「え、こんなに!? いいの、お姉さん」
「ええ。あ、でも私一人でこんなにもらったら悪いかしら?」
「ううん! ありがとう!」

 やった! と小さくこぼす少年に言われた額よりも少し多めに手渡す。

「おつりは……」
「いいわ」
「でも……」
「これね、私と私の大切な人の思い入れがある花なの。だから譲ってくれたお礼」
「……ありがとうございます」
「こちらこそありがとう」

 深くお辞儀をして見送ってくれるキャンドル売りの子に手を振って、教会を後にする。
 そしてセルロトの店を向かう道で思わず手に入れた物に頬が緩んでしまう。

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