アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 ドーム型の外側がいちごのムースで、中はふんわりとしたスポンジが待機している。舌触りの変化が絶妙な上、少しアクセントとなるように含まれているチーズは主張を押さえつつも、しっかりといい味を醸し出しているところは最高だ。

「美味しいですね~」
「ああ」
 感想を伝えられるくらいにはディートリッヒ様と食事をすることにもすっかり慣れた。相変わらず変化の少ない表情も気にならない。嫌だったらこんなに連れ出すこともないだろう、と割り切ったのは大きかった。

 人肌よりも少し温かい紅茶のカップを両手で包み込む。
 ほっと一息つきながら、窓の外に植わっているバラの花を眺める。
 この店のオーナーの趣味らしく、手入れは行き届いている。きっと香りもいいのだろう。

 そこでふと、そういえば薔薇のフィナンシェってどうしたんだろう? と頭をよぎる。

 あの店がきっかけで一緒に外出するようになったのだが、そもそも私があの店を知ったのはディートリッヒ様からの差し入れである。つまり彼は一度、差し入れ分を購入しているはずなのだ。

 ベルモットさんに頼んだ?
 だとしたら、今の私達の状況はあまりにおかしすぎる。
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