アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 なにせ今日は喫茶店だが、あの店のようにテイクアウトのみの店を訪れることもあるのだから。

 しかもあの店は、開店当初から噂が立つほどの店で……。

 その時は誰か別の人に同伴してもらったのだろうか。
 ディートリッヒ様からの頼みなら断る人も少ないだろうし。
 飲みやすくなった紅茶で、胸の中で唐突に沸いたもやもやを押し流す。


「アイヴィー」
「はい!」
 クイっと飲み干す私をディートリッヒ様は真っ直ぐと見つめる。
 行儀悪かったわね。反省しながら背筋をのばすと、ディートリッヒ様の視線は窓の外へと動く。

「先ほどから男女が同じ方向へ向かって歩いているのだが、彼らは一体どこへ向かっているのか知っているか?」
「え、ああ。彼らが向かっているのはおそらく『アッケンド教会』です。ステンドグラスで作られた天使様に祈りを捧げると願いが叶うという噂で、主にカップルに人気なんです」
「カップルに……」
「はい。天使様だけではなく、窓にハメられたステンドグラスから注がれる光は見事な物で……。興味がおありでしたら案内いたしますが?」
「いいのか?」

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