アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 そこまで食いつかれるとも思わず、ずいっと寄せられた顔には少し驚いてしまう。
 そんなに行ってみたかったのかしら?
 カップルが多いって言っても教会だし、一人で向かったところで目立ったりはしないだろう。

 だが私自身、二度しか訪れたことがないとはいえ、お気に入りの場所。
 興味を示してくれれば嬉しいことに代わりはないのだ。

「はい。過去に二度ほど訪れているので道順はバッチリです! あ、でも説明とか出来ませんからそこは期待しないでくださいね」
 教会の歴史なんて期待されても分からないのだ。
 キャンドル売りの子ども達なら分かるかもしれないが、そのほかに教会関係者はみかけたことがない。その上、説明書きも見あたらないのだ。
 普通の教会が有名になっただけで、特別観光名所にしようとしていないのならそんなものだろう。それでも道順なら大丈夫! と胸を張る。

「そうか……」
 けれど何かを期待していたらしいディートリッヒ様は暗い声を返す。

「あの、時間をいただければ資料をご用意いたしますが」
「いや、いい」
「そう、ですか……」
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