アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 顔を覚えていてくれたらしい店員さんの一人に手渡せば「任せてください。必ずや最高の一着に仕上げますので!」と拳を固めてくれた。

「お願いします」
 最終調整にはわざわざ私の実家まで足を運んでくれると約束してくれた店員さんに深く頭を下げて、店を後にした。


32.
 王都へ来た一番の目的を終え、私の心は一部だけ小さな穴が開いたようだ。
 今の仕事にやりがいはあるけれど、そこを埋める物とはジャンルがまるで違う。

 やりがいはやりがいでも、こちらは青春を捧げ、やりきった物なのだ。
 大好きなお姉様が新たな一歩を踏み出すための贈り物ともいうべきか。子どもだった私がお姉様に返せる一生のうちで一番大きなお返し物。

 この穴が埋まるのは時間がかかりそうだなぁ。
 そんなことを想いながら、久々となる一人の休日を過ごす。
 最近はディートリッヒ様にジャック、一人の日でもセルロトの店に足を運んだりと、何かと知り合いと会うことばかりだった。

 だが今日は普段行かないような場所を選んだ。
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