アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 泣かなくとも自然の中にいるだけでも心は癒されるもの。
 今度から定期的に一人ピクニックでもしにこようかしら?

 寂しいものだが、それを寂しいと判断する者など私一人を除いてこの場にはいない。つまり私が楽しいと思えば、それは『楽しいピクニック』へと早変わりするのだ。なにせ私しか判断する人がいないのだから。


 私基準!
 私が全てだ!


 空間を独り占めした気分になった私は声をあげて笑う。
 泣くのは声を殺していたのに、楽しいと声が出てしまう。なんて素敵な違いだろう。楽しくてたまらない。

 ならば楽しいついでに踊ってみようかしら?
 誰もいない水辺で誰にも披露したことのないダンスを始める。

 見本は何度となく見せてもらった社交ダンス。
 もちろん音楽だってなければ、相手だっていない。

 でもそれで十分なのだ。
 植物に挨拶をして、彼らを観衆に披露するそれはご令嬢達のそれとは比べものにならないくらい下手なものだろう。

 けれど私が楽しければそれでいいのだ。

 ワンピースの裾をふわっと広げ、空を見上げながらクルリと回る。
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