アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 私を見つめ返すその空にはもう、雲一つ浮かんでいなかった。


33.
「アイヴィー、何してんの?」
 気持ちよく木陰で寝転がっていると聞き覚えのある声が頭上から降り注ぐ。

「セルロトこそ」
 私の顔を見下ろしていたのはセルロトだった。
 知り合いに会わないように、って来たつもりだったのに結局顔を合わせることとなるとは何の因果だろうか。
 まぁ所詮、王都の外れってだけで遠くまで来た訳ではないし、セルロトに至ってはこの場所を教えてくれた張本人である。
 たまたまこの場所に足を運んだとしてもおかしくはない。

「なんか嫌なことあった? 特別にお姉さんが聞いてあげるわ」

 例えば嫌なことがあったとか。
 一人になりたくて来たのなら用事の済ませた私はさっさとお暇すべきだろう。
 けれど妙にすっきりとした私は、彼に何かお返しをしたかったのだ。
 年なんて2つしか変わらない癖に『お姉さん』なんて言ってみたのは、必要がないのだったら笑い飛ばして欲しかったから。けれど同時に頼って欲しかった。

 けれどそんな私の心配を、セルロトは鼻で笑って吹き飛ばしてしまう。

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