アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 熟練度が私とまるで違う。

「早く終わったらアイス、奢ってよね」
「……まぁそれくらいなら」
「ダブルで!」
「シングル!」

 ダブルシングル論争を繰り返しながら、私達は薬草採取に励む。
 いつしか私の籠とセルロトの籠、どちらが先にいっぱいになるかを競い始める。とはいえ、セルロトの籠は私のものよりもずっと大きい訳だが、これも必要なハンデである。



 ――そして勝ったのは私だ。
 正確にはこの湖付近にはセルロトの籠がいっぱいになるほどの薬草は生えていなかったのだ。

「私の勝ちね!」
 籠の満たされた割合が多いのは明らかで、ふふんと自慢気に胸を張る。
 そんな私をじとっと見つめたセルロトだったが、はぁとため息を吐いて負けを認めた。

「いいよ、分かった。僕の負けだ。けど露店のだからね!」
「やった!」
「だからちょっと待ってて」
 セルロトは籠を背負ったまま別の場所へ移動すると、辺りの草花をかき分ける。そしてその中からいくつか採取をしていく。

「何しているの?」
「香油の材料の採取。この辺りに自生してる植物って結構香りがいいんだよ」
「そうなの? 環境がいいのかしら?」
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