アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 もしかして私が知らないだけでディートリッヒ様ってアイス好きなのかしら?
 そんな素振りはなかったけど?
 それにアイスが好きなら遠ざかるのではなく、露店で買えばいいだけの話である。あの時の店はガラッガラで、当然余計な人目にさらされることもない。その日が嫌なら、その場にいた私に後日尋ねるなり、いつものように引き連れていけばいいだけである。
 やはりどう考えたところで、ここまで引きずる内容ではない。

「好きな女性が他の男性とデートしていたらそれは心配にもなるわよね!」
 けれどどうやら私は見当違いな心配をしていたらしい。
 両手を頬にぺたりとくっつけて夢心地に呟くマリー様の言葉に、なるほどと納得した。
 思えば彼女はまだディートリッヒ様は私のことを思っていると思い続けているのだ。だからこそ乙女チックな想像をしてはきゃっと可愛らしい声をあげることが出来るのだ。そんなマリー様にそれはもう終わったことですよ。ディートリッヒ様も私も、もう何とも思っていないんですよ。なんて告げることは憚られた。

「アイヴィーは言いづらいだろうから、私からそれとなく伝えておくわ!」
< 205 / 241 >

この作品をシェア

pagetop