アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 急いでキッチンに皿を運び、後で洗いますので! と断って、玄関まで向かう。
 その途中でこちらへと向かっていたらしいベルモットさんと、声の主だろう少女と顔を合わせた。

「アイヴィーさん……」
「そう、あなたがアイヴィーねぇ……。想像以上に冴えない顔しているのね。それに手や髪だって全く手入れされていないじゃない。女性っていう意識が足りないのではなくて?」

 出会い頭に罵倒してくる少女の後ろで、ベルモットさんはしきりにこちらに頭を下げている。だが貴族のご令嬢がメイド相手に憂さ晴らし、なんて特別珍しいことではない。
 ディートリッヒ様のお知り合いだろうが、なんだろうが対処法なんて一つだ。

 これ以上お怒りにならないよう、適度に反応しながら聞き流す!
 これに限る。

 怒濤の言葉責めを食らいつつ、少女が何度も『お兄さま』という言葉を出していることからディートリッヒ様の妹か、それに近しい仲なのだろうと判断を下す。

 感情がくみ取りづらいディートリッヒ様とは真逆を行く方だなぁ~なんて思いつつ、唐突に始まった『お兄さまのお相手には~』との希望を延々と聞かされる。

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