アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 それも私への罵倒とセットで。

「だからあなたみたいな田舎の男爵令嬢なんかに相応しくないの!」

 もしかしてディートリッヒ様のお相手にハイレベルな令嬢を求めるから、メイドも同じくらいでないと勤まらないといいたいのだろうか。

 だけどメイドの多くは平民か下級貴族の娘である。
 男爵、子爵辺りまでなら下働きを経験するが、それ以上の方はよほどのことがない限り、城ですら働かないんだけど……。
 どうやらお兄さまの周りを完璧で固めたいらしい少女に、そんなこと伝えても無駄なのだろう。

 私には品があるとは言えない。
 一応人並みには仕事が出来るが、所詮その程度だ。
 どこからか私の噂を耳にして、それにお怒りになったのだろう。

 近々クビになるかもな……。
 ご令嬢の言葉に耳を傾けるフリをしながら、私は次の職場の見当をつけていた。



「ラティリアーナ」
「お兄さま!」

 いつまで続くか分からない時間から救い出してくれたのはディートリッヒ様。
 ずいぶんと早いお帰りだ。

「おかえりなさいませ」
 玄関までお迎えに迎えられなかったことへの謝罪と共に、早い帰宅の主人に頭を下げる。
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