アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 ――そして作り始めてからしばらくで『アイヴィーの花冠』は完成した。

 憧れること7年。
 けれど憧れる期間に対して、制作時間はあまりに短い。
 何ともあっけないものである。

 頭に乗せて見ても、身を包むのはウェディングドレスではなく既成品のエプロンドレス。鏡の前でくるりと回っても魔法がかかることもない。

 けれどそんなところは何とも自分らしいと思えたのだった。

 角度を変えながら、この辺りにもう少しお花欲しかったかも? なんて確認する。するとコンコンとドアを叩く音がした。

 今日は休みのはずだけど、お茶会のお誘いかしら?
 花冠を机の上に乗せて、はぁいとドアを開いた。

 けれどドアの前にいたのはベルモットさんでもルターさんでもなく、ディートリッヒ様だった。
 もしかして外出のお誘い?
 始めの一度を除けば、ディートリッヒ様に同行した日は仕事の日だった。
 だからどうしたのだろうと首を傾げて彼を見れば、手には小さな箱を乗せている。
 けれど目の前の人は目を見開いたまま、固まってしまっている。
 声、かけた方がいいのかしら?
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