アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 そんなことを迷っているうちに、いつもの無表情へと戻る。

「よければ食べてくれ。この前のお詫びだ」
「そんな、悪いですよ」

 どうやら先日のことを気にしているらしい。

 何て言おうか悩んでいたのかしら?
 気にしないでくださいって言ったのに、何とも優しいディートリッヒ様らしい。

「アイヴィーに、食べて欲しいと思ったんだ……」
 そう告げる声はなんだか弱々しくて、私よりもディートリッヒ様の方がラティリアーナ様の襲撃が堪えているらしかった。断るのも悪いだろうとありがたく受け取って、ディートリッヒ様を見送る。心なしか背中にも覇気を感じない。
 本当に大丈夫かしら?
 仲が悪いようには見えなかったけれど、ラティリアーナ様は暴走しやすいタイプなのかもしれない。

 ブラコンを拗らせて色んな方に突撃しているとか?
 そう考えると不思議と親近感が沸いてくる。
 私だってお姉さまのために! って突っ走ってきたのだから。

 次に会うことがあれば優しくしよう。
 そう誓って、ディートリッヒ様からいただいた箱を開く。
 箱の中身はフォンダンショコラだった。
 それもハート型の。

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