アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 ため息によく似た返事を返しながら、つい数日前まで相応しくないって散々言葉を投げてきたじゃない……と心の中で愚痴を漏らす。

 一体どんな風の吹き回しだろうか。

 練習、かしらね?
 その可能性はあり得るな。
 なにせディートリッヒ様は私の数個上。婚約者がいるという話は聞かないがそろそろ結婚してもいい年頃だろう。今まで結婚しなかったのって王子のお世話役があるからなんだろうか。だけど王子が結婚するのはあと数年後だ。それまで待っても、名門貴族の嫡男のディートリッヒ様なら引く手あまたなんだろうな~。

 実は公にされていないだけで婚約者がいらっしゃったり?
 考えてみて、その可能性が高そうだなんて一人で納得する。

 とりあえず今回は座らせてもらって、なぜかお茶とお菓子まで用意してもらっている。
 適当に聞き流して終わるのを待つのが一番だ。
 そんなことを思いながら、紅茶を啜る。

 けれどそれがラティリアーナ様の逆鱗に触れてしまったらしい。

「ちゃんと聞いているの?!」
「は、はい!」
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