アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 おそらくあの二度で、私相手にはこういうことをしても怒られないと悟ったのだろう。ディートリッヒ様の不在さえ狙えばという条件はつくが、地位も立場もちょうどいいのだろうし。

 それで気が済むというのなら。
 何よりお世話になっているディートリッヒ様の未来のお相手へのプロモーションが上手くいき、結婚までトントン拍子に進むのなら悪い話でもないのだろう。


 何周目分からないお兄さま自慢を聞かされた私はすでにディートリッヒ様の魅力講座ができるまでに成長した。

 今後、プロモーション活動の一人として駆り出されても大丈夫なほど。
 もしやそこまで考えて!?
 ラティリアーナ様、猪突猛進型ブラコン拗らせ系令嬢かと思えば、策士だったとは。さすが1000年以上続く名家のご令嬢である。

 乾いた喉を潤すようにカップの紅茶をクイッと飲み干すところはおじさん臭いが、まぁそれだけ気を許してくれているということだ……多分。

「ラティリアーナ」
 気づけば窓の外は暗くなり、いつもよりも遅く帰宅したディートリッヒ様がドアの前で絶対零度なオーラを醸し出していた。

 私でも分かるほどにお怒りだ。
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