アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 どこで活動しているか分からないその集団に思わず頭を抱えてしまう。ディートリッヒ様も同じ額に手を当てて考え込んでしまっている。

 ここまで話が大きくなっていたら、処理も大変よね。
 頭痛の原因お察しします……。

 予期せぬところで仕事が増えてしまったことに申し訳なさを感じながらも、一介のメイドに過ぎない私は傍観を決め込んだ。

 ――はずだった。

「愛した女性が幸せになるんだ。その相手が自分でなかったとしても見守るのが男のつとめだろう……」
「お兄さま……」

 凄くカッコいい言葉でまとめにかかっているところ非常に申し訳ないのだが、私に相手など存在しない。

 シンドラー王子にはそういう相手がいないことは伝えてあるし、ディートリッヒ様も分かっている、はずよね?
 唇をかみしめ、俯くその姿は迫真の演技をしているだけよね?
 胸を掴んで悲しみに浸るディートリッヒ様についつい心配になってしまう。


 そんな姿を見たら、これが本当に正しい選択なのか分からなくなってしまうじゃないか。

 もしこれが演技なんかじゃなかったら。

 終わったというのが私の勘違いだったら。

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