アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 俯いた顔にどんな言葉が帰ってきても笑ってみせろと信号を贈る。


「…………アイヴィーがそれを望むのなら」

 けれどそれは私を引き上げてくれるもので、思わず私はもう一歩踏み出した。

「私、一生もらえないと思って、自分で花冠作ったんです。でもディートリッヒ様の物をもらえるのなら」
「…………!」

 顔をあげたその瞬間、視界は暗闇に包まれる。
 けれど決して冷たいものではない。
 むしろ愛おしい人の体温は今までで一番心地のいいものだった。

「一生記憶に残る物を贈ることを約束しよう。だから私の側にいてくれ」
「メイドとして、ですか?」
 そんな意地悪な言葉が出てしまうのは、まだ不安だから。
 けれどディートリッヒ様は私を抱きしめる手を緩め、真っ直ぐとした瞳で私を見据えた。


「妻として、私のとなりで笑っていて欲しい。……君さえよければ、だが」
「私、嬉しいです」

 ディートリッヒ様の手を包み、幸せに浸るのだった。


40.
 無事に思いを通じ合わせた私達。
 ディートリッヒ様が「王子達にも報告したい」とおっしゃるので、翌日、馬車に揺られて城へ向かった。

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