アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 けれど、どんな仕事もどんとこい! と構えた私に向かって発せられたのは思いもよらない言葉だった。

「アイヴィーさん。あなたのことはディートリッヒ様から一通りのことは出来ると聞いております。その上、シンドラー王子の紹介です。あなたには非常に期待しています。……してはいるのですが、この屋敷ではあなたにしてもらうことはあまりありません」
「はい?」

 目上の人物にそう聞き返すことは無礼である、ということはさすがに新人のメイドでさえも知っていることである。もちろん私もそう習っている。だが、聞き返さずには居られなかったのだ。

「あの、私は前任のメイドさんの代わりということでここに来たのですが……」
「はい、そうです。なので前任者がやっていたのと同じことをしてもらう予定です」
「それでは……」
「ですがその前任のメイドは元々ディートリッヒ様の乳母だった者で、私と共にディートリッヒ様の教育と身の回りのお世話が主な仕事でした。けれどディートリッヒ様は成長なさるごとに自分のことは自分でなさるようになり、正直なところ私の仕事もほとんどなくなってしまったのです」

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