アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 そしてその顔を合わせる相手というのは、ディートリッヒ様を除く全員が50歳以上の既婚者である。働く姿は格好良く、尊敬する所は多いが、恋愛対象にはなり得ない。
 つまりは次の恋に進もうにもその相手に出会うことが出来ないのである。こちらも想いに踏ん切りがつけられない理由といっても過言ではない。


 何かいいことないかなぁ?
 職場と人には恵まれているから、これ以上を望むと神様に叱られてしまいそうな気がしなくもない。
 だが私も乙女なのだ。これでも、一応……。

 顔面偏差値が高い・地位が高い・収入が高い、の三高を望みはしないから、私と平凡な日々を過ごしてくれるような男性が現れてほしい。

 そんなことを思いながら、幸せな既婚者達の空になったカップに紅茶を注いでいくのだった。

6.
 完全週休2日、住み込み、三食まかない付――とここまでは城にいた頃とあまり変わらない。それに毎日、お茶とオヤツがプラスされるのはもうこの一カ月と少しで慣れた。使用人同士の交流を大切にする家なのだと納得したのだ。


 だがこれはない。あり得ないと思う。
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