アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 これがベルモットさんをさらに困らせてしまうことは分かってはいるのだが、首を何度ひねったところで『欲しいもの』というものが見つからないのだ。

 思えばここ数年ほど、たった一つを除けばそんなものはなかったように思える。
 欲しいのはいつだってお姉様に着てもらうためのウェディングドレスで、そのためにずっと貯金をしていたのだ。
 この6年間で稼いだお金のほとんどがそれに費やされているといっても過言ではない。というかこれといった使いどころもなかった。

 服は実家から持ってきた服を仕立て直せばある程度は着ることができた。さすがに丈が足りなくなった時は新しい服を探しにいったけど、あれは『欲しい』というよりも『必要』だったから買っただけ。
 本はシンドラー王子とマリー様のオススメもとい押し付けられた本を読むので精いっぱいだし、髪を結ぶリボンは毎年誕生日になるとお姉様が何本か私に似合うものを贈ってくれた。

 食事は城のシェフが作った賄いが出されるし、お菓子はシンドラー王子やマリー様、使用人仲間におすそ分けされることが多かった。

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