アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「え?」
「君が考えていたのは……お姉さんのことか?」
 なぜそんなことを聞くのか気にはなったものの、ここで嘘をついても仕方がない。
 頭を上げて、ディートリッヒ様の目を見つめてからゆっくりと「はい」と返事をする。言っていないこともあるが嘘ではない。

 するとディートリッヒ様は安心したとでも言うように力が抜けたように「そうか」と笑った。

 まさかこのタイミングでディートリッヒ様の笑みを再び見ることになるとは思ってもみなかった。あまりの出来事に私の思考は何があったのか理解することが出来ず、ただただ手の中の箒を落とさないようにぎゅっと握る。

 そんな私の横を通り過ぎて、ディートリッヒ様はベルモットさんの名前を呼びながら奥へと進んでいく。
 なぜか急に上機嫌になったディートリッヒ様の足取りは、お疲れとは思えないほどに軽いものに見えたのは私の見間違いではないだろう。

9.
 ベルモットさんのお勧めに従って、私は朝から城下町へと向かった。
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