アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「買うか……」
 どちらにせよ、やはり私はそれを買うことには変わりないのだ。
 きっと似合うんだろうな~とか思いながら、これからもきっとこの思いを吹っ切ることができぬまま過ごすのだろう。
 何とも悲しい人生だが、これが私の恋なのだ。
『初恋は実らない』といつの頃からか乙女の間で引き継がれてきた名言があるが、是非ともその次に『だからさっさと吹っ切って先に行け』という言葉を付け足していただきたい。深くのめり込まなければきっと過去の私も抜け出せたはずだ。
 今となってはそんなことも無理だけれど。
 こじらせた初恋の象徴ともいえる、ラッピングしてもらったタイピンをカバンにしまって店を出る。

 オシャレな雑貨が並ぶ店に背を向けて、これからどこに向かおうかと考える。するとふととある店が頭に浮かんだ。

 以前ディートリッヒ様から差し入れでいただいた、が私は食べられなかったお菓子のお店である。
 バラの形をしたフィナンシェは貴族のご令嬢方はもちろんのこと、可愛いものに目がない女性陣には非常にウケていた。
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