アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 今日も今日とてお仕事に励むディートリッヒ様がお城に向かうことは、何一つとして不思議なことではない。

 だがお城のメイドを辞めた私がなぜ?

 その理由を尋ねたいのだが、生憎ディートリッヒ様は一緒に乗っていた部下の方とお話中のようだ。いくらお休みの日とは、主人の邪魔になるかもしれないことはできない。
 私にできるのは、フィナンシェはまた今度にして、指示が出されるまで座って待つことである。


10.
「アイヴィー、よく来てくれた!」
「シンドラー王子!?」
 連れて行かれた先にいたのは、一ヶ月ぶりのシンドラー王子の姿だった。

 そしてこの場所に私を連れてきたディートリッヒ様は、今はもうこの部屋にはいない。

「休日は改めて出す」
 それだけ言って、到着してすぐに走り去ってしまったのだ。
 忙しい中、私を探し回ったせいで予定時間に追われているのだろう。
 アッシュ家のメイドになってから約一カ月が経ったが、部屋の整理だのなんだので、休日も大抵お屋敷にいた。だから今日もそうだと思っていたのだろう。
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