アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 後から聞いた話によると、貴族の娘であるにも関わらず使用人を一人も連れずにやってきた私はたいそう異様に映っていたらしい。でも私からしたらメイドとして働く予定なのに、自分の世話を使用人にやってもらうという考えの方が不思議なんだけどなぁ……。

 どうりでしばらく変に同情されたり、からかわれたりした訳だ、とわかったのはそれから半年ほど経ったころだ。
 私がその理由にたどり着いた頃には私をバカにしていたご令嬢は私に飽きてくれていた。本来の目的である旦那様選びに精を出し始めたといった方が正しいか。まぁどっちでもいい。
 ともかくそれがきっかけで平民上がりのメイドさん達が声をかけてくれるようになったのだ。

 仲良くなったメイドさん達は私がもっとスキルを身につけたいと話せば、手が空いている時に教えてくれた。それはもう懇切丁寧に。

 そのおかげで今はオールワークとまでは言わなくても、大抵のことはこなせるようになった。自称ではなく、『他人に厳しく自分にはもっと厳しく』をモットーとするメイド長に褒めてもらったから間違いない。

 ちなみに最難関はお茶入れである。
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