アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 まずその日の気温や湿度を感じて……ってところが難しすぎる。沸かしたお湯の温度を当てるところまではできたんだけど、そこから先は後数年ほどかかりそうだ。
 教えてくれた執事さんは『そう簡単に修得されては私たちの立つ瀬がありません』なんて笑っていたけれど、彼は1ヶ月で修得したというからただ単純に私の覚えが悪いだけだろう。

 だがお茶が満足に淹れられるようになればこれ以上の給与アップも夢じゃない!
 人には向き不向きがあるらしいから時間をかけて覚えるしかないと割り切って、これからも教えを請うことにしよう。


 それには結婚なんてしている暇なんてないのだ。


2.
「今のところ予定はありませんね。忙しいですし……」
 そうやんわりと返して見たが、苦笑いするシンドラー王子には私に結婚の意志がないことは伝わっているだろう。
 なんだかんだでシンドラー王子とこうやって話すのも、もう5年目に突入したのだ。どんなに綺麗な言葉で包んだところで私の性格なんてとっくにバレている。

 もちろん私がお金を稼ぐためにこの場所にいることも、その理由も王子は全部知っている。
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