アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 それにあのまま実家にいたとしても、きっと彼らとお茶会をする機会などなかったはずだ。

 だってこれは私がメイドとして城にやって来て、シンドラー王子と出会って、そしてその婚約者であったマリー様と出会ったからこその関係なのだから。

 まだ数日ほど二人のお相手は続くようだけど、帰ったらお説教かしらね。
 メイド長のそれとはきっと違うだろうが、だが身分を弁えろと諭されるのは間違いないだろう。

 二人とのこの関係が終わってしまうのは少し寂しいが、今の雇用主はディートリッヒ様だ。彼の言葉に従う他ない。

 つい俯いてしまった私の耳に「そう」と冷たい言葉が入ってくる。
 これはマリー様の声だ。
 いつもの可愛らしい声でも、先ほどまでのはしゃいだような声でもない。
 突き放すような冷たい声だ。弾かれるように顔をあげると、そこにはディートリッヒ様を睨みつけるように立つマリー様の姿があった。

「ディートリッヒ様はそういうことをおっしゃるのね。少しの間だって我慢していたけれど、どうやら何も変わらないみたいだし、私にだって考えがあります」
「考え、ですか?」
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