アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 そうこう考え事をしているうちに、リアゴールド公爵の書斎へとたどり着いてしまう。ここが一番の山場だったはずが、いつの間にか第一の山場と化してしまった目的地である。ちなみに第二の山場は寝場所についてである。それは何としても客間に落とし込もうと思う。そちらは泣き落としや上目遣いといった必殺技が使われなければやり過ごせるはずである。まぁ山場である事実は変わらないわけだが。

 うん、やっぱり私の胃痛は収まりそうもないらしい。となれば後は腹をくくるしかあるまい。
 今日はなんだか決心することが多い日だなぁと思いながら拳を固める。
 そしてマリー様の、ドアをトントントンと三度ノックする音を聞いてから神経を集中させる。

 気分は大規模な社交会会場担当に配属された時と同じだ。
 無礼だけはしないように、つつがなく終わるように、一人の使用人としてやりきるのみ!

「お父様。マリーです。少しいいかしら?」
「入りなさい」
「失礼します」
 マリー様と繋がれた手はなぜかそのままで、私はリアゴールド家の公爵様との謁見を試みるのだった。


15.
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